介護施設を探してみました

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

毎日会社勤めでこれまで介護に縁のなかった方々には、介護施設や制度のしくみは複雑でわかりにくく、いざというとき、どんな施設がどんなことをしてくれるのか、わからないのではないでしょうか。介護に関するセミナーで話したこともある私も、いざ自分の母の介護施設を探すとなると、実は同様でした。見学した介護施設の様子をご紹介します。

デイサービス

自分の親が認知症になるなんて、信じたくないし、切なく、やりきれないものです。今思うと、認知症が進まないようにすぐ「デイサービス」を利用すべきだったなと思います。

デイサービスとは、日帰りで専門施設に短時間介護を依頼できるサービスです。「通所介護」ともいい、送迎付きで食事や入浴、レクリエーションなどを受けられます。たとえば、朝10時前にデイサービスのからお迎えの車がやってきて、夕方4時過ぎに送ってきてくれます。午前中のデイサービスで、お風呂だけゆっくり入れてくれるところや、マシンを使って筋力アップを目指しているところもあります。

いろいろなサービスをうまく探して、週1日からでも行って過ごすことを早いうちからやっておけばよかったと思います。認知症が進んでからは、お友達もできない、マシンを使った筋力アップも毎回初めてのマシンを使うのと同じで、達成感も感じられません。

 

老健施設(介護老人保健施設)

昨年8月のある日、母は転倒して大腿骨を骨折しました。手術、50日間の入院を経て、認知症が驚くほど進んでしまい、老健施設(介護老人保健施設)に入所することになりました。老健施設は、「ショートステイ」といって、数日から数週間のお泊りをさせてもらえる施設です。今回は、ショートステイということではなく、「入所」としての利用です。リハビリ等が必要で、自宅で面倒をみることができない場合、もう少し長いスパンでの利用が可能です。当初、リハビリによって元の通り歩くことができる状態になって自宅に帰るという目標で施設に入居しましたが、1年経った今、母は歩くことはできず驚くほど認知症が進んだこともあり要介護は2から4へ進んでしまいました。

 

特別養護老人ホーム(「特養」)

特別養護老人ホームを見学しました。全国に約9500か所あり約57万人が暮らしています。毎月の費用は介護サービス費と生活費をあわせて月5万円~10万円ほど。「入居一時金」はありません。人気が高く、厚生労働省によると2016年4月時点での待機者は36万人以上とのこと。ただし、最近は地域によりますが、空きのある特養が結構あるようです。

要因の一つは、2015年4月に施行された介護保険法改正。それまで要介護1以上であれば入れた入所条件が原則要介護3以上となり、要介護1、2の人が除外されたこと。

もうひとつの要因は、2001年以降に新設された施設に「ユニット型」が多いことです。従来型は4人同室の多床室が主です。しかしそれでは入居者のプライバシーを保てないということから、厚生労働省は特養の個室化を推進し、2001年以降に新設された特養には個室が設けられています。ユニット型とは、その個室の入所者10人程度をひとつの生活単位=ユニットとして職員を配置し、ケアをする形態です。ユニット型特養は、福祉先進国のスウェーデンのケアスタイルを取り入れたもの。ただし、多床室に比べ4~5万円程度料金が高くなってしまいます。利用者は年金で費用を賄っておられる方々が多く、この金額差のために入居できないということもあるようです。またユニット型は個別ケアのため職員の負担が大きくなり働き手がなかなか集まらないという、施設型の事情もあるようです。

 

民間有料老人ホーム

近年、民間の老人ホームやサービス付き介護住宅がどんどん建設されるようになってきてます。民間の有料老人ホームでは、一般的に毎月20万円以上の費用がかかり、さらに数百万円の入居一時金を求められます。見学した施設は、最低でも入居一時金が700万円程度、月額は35万円以上の費用がかかります。その施設たるや、まるでリゾートホテルのようでした。「1週間に1度は気分を変えてこちらに入っていただきます。」と紹介されたのは灯篭のある中庭に面した檜風呂。素晴らしかった。ですが、残念ながら、庶民の私たちには手が出ませんでした。

 

グループホーム

結局、私たちが現在申し込んでいるのがグループホームです。グループホームとは、認知症の症状を持っている方々が、専門スタッフの援助を受けながら1ユニット(5~9人)で共同生活する介護福祉施設です。地域密着型サービスのひとつですので、施設と同一地域内に住民票がある方が対象となります。基本的に個室であり、居室内には家具の持ち込みは自由。住み慣れた自宅に近い環境を再現できるように配慮されているところもあります。

やれることはできるだけ自分たちでやってもらうことで、その人その人の個性に寄り添い、自宅での生活に近い暮らしを実現させることを目指します。

今後、老健の医師による診断書を出してもらい、それを受けてグループホーム側が面接を行い、共同生活が可能かどうかを判断され、その後入居ということになります。今は診断書と面接がうまくいきますようにと祈るばかりです。

アイさぽーとHP:社労士コラム2017年10月31日掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。