人事労務管理のポイント:未成年者と労働法

先日、成人年齢を現在の20歳から18歳に引き下げる民法改正案が国会に提出された。成立すれば2022年4月からの施行が予定されている。すでに選挙権年齢は、公職選挙法改正により18歳に引き下がっており、2016年の衆議院選挙が、18歳以上が有権者となった初の国政選挙として注目されたのは記憶に新しいところである。

成人年齢の引き下げは、今後社会生活の様々な場面で影響を及ぼすことが想定されているが、労働基準法を中心とした労働法制への影響はどうなのかを少し確認してみよう。

続きを読む

人事労務管理のポイント:自営業者とメンタルヘルス

私事で恐縮だが、かつて私の父母は個人商店(いわゆる町のパン屋さん)を営んでいた。起床は午前4時前、時に大量注文が入るともっと早くなった。通勤時間は0分なので、直ちに仕込みに入り、午前7時前には店を開け、だいたい午後56時ごろまで営業していた。晩年は毎週月曜を定休にしていたが、私の子供のころは月1回の定休日があるかないかだったように記憶している。

続きを読む

介護施設を探してみました

毎日会社勤めでこれまで介護に縁のなかった方々には、介護施設や制度のしくみは複雑でわかりにくく、いざというとき、どんな施設がどんなことをしてくれるのか、わからないのではないでしょうか。介護に関するセミナーで話したこともある私も、いざ自分の母の介護施設を探すとなると、実は同様でした。見学した介護施設の様子をご紹介します。

続きを読む

人工知能(AI)と働き方の雑感

将棋の藤井壮太四段の一挙手一投足が報道されていたのが、少し収まりました。藤井四段の繰り出す手と、人工知能(AI)が導き出した手をしばしば比較され、AI自体についての解説も目にすることが増えました。初めて「AIって凄いことになってるな」と思った方もあるかもしれません。私も、AIについてその程度の認識でした。

6月25日に放送されたテレビ番組NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か2017」をみました。番組の始まりはやっぱり将棋の世界でした。番組では、「もはや人間など敵ではない。人工知能はモンスターのような進化を遂げている」と言っていました。

続きを読む

労働時間管理の実務対応と法制化への動き

今年1月20日に厚生労働省から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(以下、「労働時間の適正把握ガイドライン」という)が公表されました。今後行政(労働基準監督署)はこのガイドラインをもとに企業を指導することになりますので、その内容をよく理解し実務対応する必要があります。

一方、長時間労働の是正は現在議論されている「働き方改革」の目玉であり、前回(4月Vol.65)ご紹介した「働き方改革実行計画」にも罰則付きの時間外労働の上限規制という項目が盛り込まれました。これを受けて、労働政策審議会は「時間外労働の上限規制等について」6月5日に建議を行いました。今後この方向で法制化に進んでいくことが予想されますので、こちらも注目しておきたいところです。

続きを読む

育児・介護休業法の改正内容と実務ポイント

「改正育児・介護休業法」が10月1日より施行されております。今回は、今年1月に行われた介護休業関連を中心とした改正に引き続き、同一年での2回目の改正となります。時期的には異例の改正ではありますが、育児をしながら働く男女労働者が保育所などに入所できず離職せざるを得ない事態を防ぎ、育児休業などを取得しやすい就業環境の整備等をさらに進めていくために、いわば緊急的な対応として法整備されたものと言えます。

続きを読む

人事労務管理のポイント:賃金所感

ここ数年「わが社の賃金制度を抜本的に見直したい。」という相談が増えてきている。

具体的な内容は多岐にわたっており、例えば「制度が年功的で、評価によって賃金額にあまり差がつかない。」「このまま定期昇給を続けていくと人件費が相当膨らんでしまう。」「賃金水準が世間相場と比べて低く優秀な人材が採用できない。」といった悩みを抱えてのご相談である。賃金制度には、社員の側から見た公平感や納得感とともに、当然ながら自社の支払い能力からみた合理性や世間相場への対応等も求められてくるが、これらは相反するニーズである場合も多く、それぞれのバランスと優先順位を考慮しなければならないところに難しさがあろう。

続きを読む

『育児・介護休業法』『男女雇用機会均等法』の改正に伴う実務対応上の留意点

「改正育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法」が、本年1月1日より施行されております。すでに、就業規則や労使協定の見直し等については、各会社様とも対応済みとは思われますが、今回の改正内容は、その解釈に誤解が生じたり運用面で疑義が生じたりする箇所も多いように感じております。そこで今回は、育介法・均等法の改正内容を今一度確認するとともに、実務対応上の留意点等について解説していきます。

続きを読む

働き方改革 ~長時間労働是正に向けての取組み

9月27日、第1回目の「働き方改革実現会議」が開かれました。主な論点として、同一労働同一賃金や非正規雇用の処遇改善など、全部で9項目のテーマが設定されており、今年度内に具体的な実行計画を取りまとめ、国会に関連法案を提出するとしています。
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201609/27hatarakikata.html
中でも長時間労働の是正は、非常に重要な課題となっており、その実現が望まれます。

続きを読む